下剋上御曹司の秘めた愛は重すぎる
夫婦の就寝事情についてだが、伊吹くん用の布団を買いに行くと言ったのに、彼は「必要ない」と言い張った。
「まさかソファで寝るつもり? いくら短期間とは言え、身体に良くないってば」
心配ゆえにたしなめたのだが、
「いや、君と同じベッドで寝るから構わないという意味だが?」
まるで当然のように一緒のベッドに寝ることになった。
狭いベッドに2人で寝るならソファの方がマシだったのでは……そう思った。だが彼は是が非でも譲らないらしい。気がつけばベッドに入っている。
「だったら私がソファで寝るよ」と言えば、「別々で寝る理由がない」と、それも却下された。
さらには眠りについた時には2人の間に少しのスペースがあったはずなのに、朝起きるとなぜか抱きしめられていた。
心臓がもたないからやめてほしい。それなのに毎日のように続いている。
こんなにドキドキするのは私だけ。伊吹くんの方はきっと暖を取るためか、人肌が恋しいのか……
(伊吹くんには、私が知らない女性との夜があったんだろうな……)
ふとそんなことを考えてしまい切なくなる。
あれから5年、私も彼も27歳。色々と未経験の私が珍しいだけで、彼には思い人と熱情を交わす夜があったことだろう。それを想像するだけで胸が苦しくなる。
もちろん私たちの初夜はまだ。キスすらしていない。今日まで目が回るほどの忙しさだったこともあるけど、何より私たちの間にそういう空気は流れなかった。だけど……
私は焦がれる視線で彼を見つめた。
「ん? はるちゃんどうした?」
すると、私の様子にすぐに気づいた彼が、冬の朝でもキラキラと眩しい笑顔を向けてきた。
「ううん、なんでもない」
(今、私の目の前には本当に伊吹くんがいる……)
ようやくじわじわと実感が湧いてきて、こそばゆい喜びに溢れてきた。
かつてよりも切なさに現実感が伴うのは、こうして再会して、また一緒にいることができるからだ。
「まさかソファで寝るつもり? いくら短期間とは言え、身体に良くないってば」
心配ゆえにたしなめたのだが、
「いや、君と同じベッドで寝るから構わないという意味だが?」
まるで当然のように一緒のベッドに寝ることになった。
狭いベッドに2人で寝るならソファの方がマシだったのでは……そう思った。だが彼は是が非でも譲らないらしい。気がつけばベッドに入っている。
「だったら私がソファで寝るよ」と言えば、「別々で寝る理由がない」と、それも却下された。
さらには眠りについた時には2人の間に少しのスペースがあったはずなのに、朝起きるとなぜか抱きしめられていた。
心臓がもたないからやめてほしい。それなのに毎日のように続いている。
こんなにドキドキするのは私だけ。伊吹くんの方はきっと暖を取るためか、人肌が恋しいのか……
(伊吹くんには、私が知らない女性との夜があったんだろうな……)
ふとそんなことを考えてしまい切なくなる。
あれから5年、私も彼も27歳。色々と未経験の私が珍しいだけで、彼には思い人と熱情を交わす夜があったことだろう。それを想像するだけで胸が苦しくなる。
もちろん私たちの初夜はまだ。キスすらしていない。今日まで目が回るほどの忙しさだったこともあるけど、何より私たちの間にそういう空気は流れなかった。だけど……
私は焦がれる視線で彼を見つめた。
「ん? はるちゃんどうした?」
すると、私の様子にすぐに気づいた彼が、冬の朝でもキラキラと眩しい笑顔を向けてきた。
「ううん、なんでもない」
(今、私の目の前には本当に伊吹くんがいる……)
ようやくじわじわと実感が湧いてきて、こそばゆい喜びに溢れてきた。
かつてよりも切なさに現実感が伴うのは、こうして再会して、また一緒にいることができるからだ。