下剋上御曹司の秘めた愛は重すぎる
そして今日、12月27日は熱海で暮らすお義母さんに会いに行く。
東京駅から新幹線に乗り、熱海で在来線に乗り換えて1駅の街に伊吹くんのお母さん――興津夏子さんは暮らしている。
「現在、母は祖母と一緒に実家で暮らしている。父と母は結婚した時、少しの間だけ母の実家に身を寄せて、それから静岡に移住したんだ」
海を臨むレトロな街並み、ノスタルジーを感じる景色の一角に伊吹くんのお母さんの家はあった。
「ようこそ、榛名ちゃん。来てくれて嬉しいわ」
「ご無沙汰しております。挨拶が遅くなりすみません」
「気にしないで、さあ中に上がってちょうだい」
少しやつれてはいるが、入院中にお会いした数年前よりもはるかに顔色が良く、健やかな様子に見える。
私たちは夏子さんの家の居間にある炬燵に入って話していた。
「だいぶ元気になったのよ。以前は身体のあちこちを悪くして、良くなったと思ったら今度は別のところが悪くなって。その繰り返しだったから。伊吹には経済面でも生活面でもずいぶんと苦労をかけてしまったわ」
「母さん、それは気にしなくて良いと何度も言ってるだろう。そもそも身体を壊してしまったのは、俺を育てるために仕事をいくつも掛け持ちしていたからであって……」
「でもそのせいで、伊吹は榛名ちゃんと離れてしまった……」
夏子さんはすまなそうに伊吹くんと私を交互に見た。
東京駅から新幹線に乗り、熱海で在来線に乗り換えて1駅の街に伊吹くんのお母さん――興津夏子さんは暮らしている。
「現在、母は祖母と一緒に実家で暮らしている。父と母は結婚した時、少しの間だけ母の実家に身を寄せて、それから静岡に移住したんだ」
海を臨むレトロな街並み、ノスタルジーを感じる景色の一角に伊吹くんのお母さんの家はあった。
「ようこそ、榛名ちゃん。来てくれて嬉しいわ」
「ご無沙汰しております。挨拶が遅くなりすみません」
「気にしないで、さあ中に上がってちょうだい」
少しやつれてはいるが、入院中にお会いした数年前よりもはるかに顔色が良く、健やかな様子に見える。
私たちは夏子さんの家の居間にある炬燵に入って話していた。
「だいぶ元気になったのよ。以前は身体のあちこちを悪くして、良くなったと思ったら今度は別のところが悪くなって。その繰り返しだったから。伊吹には経済面でも生活面でもずいぶんと苦労をかけてしまったわ」
「母さん、それは気にしなくて良いと何度も言ってるだろう。そもそも身体を壊してしまったのは、俺を育てるために仕事をいくつも掛け持ちしていたからであって……」
「でもそのせいで、伊吹は榛名ちゃんと離れてしまった……」
夏子さんはすまなそうに伊吹くんと私を交互に見た。