下剋上御曹司の秘めた愛は重すぎる
「伊吹には苦労をかけてしまったけれど、榛名ちゃんという友達ができて本当に良かったと思っていたの。てっきり彼女だと思っていたから驚いたけど。だから榛名ちゃんとは東京でいよいよ恋人同士になったと思っていたら、まさか離れてしまっていたなんて……。2人とも本当にごめんなさい」
「そんな、謝ったりしないで下さい」
私は慌てて夏子さんの謝罪を止めた。
「母さんが謝ることじゃない。それを決めたのは俺の……」
そして伊吹くんも同じだと思ったら、急に言いづらそうにしていた。すると……
「決めたのは伊吹の意志ではないわ」
夏子さんがきっぱりとそう告げた。
「たしかに実際に選択して決断したのは伊吹。それにおじい様たちのせいでもない。だけど、本当はそうしたくなかったのに、そうせざるをえなかった。当時の状況のせいだと私は思っているわ」
「母さん……」
「だから、今こうして榛名ちゃんと結婚してくれて本当に嬉しいのよ。だってずっと大好きだった……」
「わーっ!」
夏子さんの『だってずっと』の後の言葉は、伊吹くんの大声によってかき消された。
「えぇっ、まさか伊吹、あんたまだちゃんと気持ちを伝えていないとか? だとしたらどうやって結婚まで……?」
「母さん、わかったから少し黙ってくれ」
こんなに焦っている伊吹くんを見るのは初めてのことだった。
「榛名ちゃん、伊吹のことをよろしくね。私たち親に似て、無理しても頑張っちゃう子だから心配なのよ。無理しないように榛名ちゃんがしっかりと見張ってあげてね」
その頼みごとに私はしっかりと頷いた。
「そんな、謝ったりしないで下さい」
私は慌てて夏子さんの謝罪を止めた。
「母さんが謝ることじゃない。それを決めたのは俺の……」
そして伊吹くんも同じだと思ったら、急に言いづらそうにしていた。すると……
「決めたのは伊吹の意志ではないわ」
夏子さんがきっぱりとそう告げた。
「たしかに実際に選択して決断したのは伊吹。それにおじい様たちのせいでもない。だけど、本当はそうしたくなかったのに、そうせざるをえなかった。当時の状況のせいだと私は思っているわ」
「母さん……」
「だから、今こうして榛名ちゃんと結婚してくれて本当に嬉しいのよ。だってずっと大好きだった……」
「わーっ!」
夏子さんの『だってずっと』の後の言葉は、伊吹くんの大声によってかき消された。
「えぇっ、まさか伊吹、あんたまだちゃんと気持ちを伝えていないとか? だとしたらどうやって結婚まで……?」
「母さん、わかったから少し黙ってくれ」
こんなに焦っている伊吹くんを見るのは初めてのことだった。
「榛名ちゃん、伊吹のことをよろしくね。私たち親に似て、無理しても頑張っちゃう子だから心配なのよ。無理しないように榛名ちゃんがしっかりと見張ってあげてね」
その頼みごとに私はしっかりと頷いた。