贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
自分でもどうかしていた二年間だった。シェリルの気を引くために彼女の願望を叶えようと必死になった。弱小国の侯爵令嬢など帝国の貴族から見れば平民と変わらない。そんな彼女を妃にしたくて、ゴシップ誌にシェリルが帝国民に受けいられるように記事を書かせた。

一番の最難関はオスカーに夢中のシェリルの心を掴むこと。彼女をどん底に落とし、救うヒーローになり気持ちを得ようと姑息な手を考えた。シェリルに穢らわしい企みと言われ、消えたいくらい惨めな気持ちになった。

「フレデリック、お前は確かにシェリルに会ってからどうかしてるよ。あれだけアベラルド王国を傾けた女だぞ。今度はバロン帝国を傾かせる気か?」

ケラケラと楽しそうに笑うマールスに私は唇を噛んだ。アベラルド王国は元々傾いていた。しかし、シェリルがオスカー王子の婚約者になり、次期国王が彼女を中心に全ての政治的な判断を下す。アベラルド王国は信用と求心力を失い、崩壊寸前だった。
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