贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
母も三年後に断罪されて絶命する。命だけは助けられたレナルドも拘束された。文字通り助けられたのは命だけ。
処刑前日、面会を許されて会ったレナルドの体には拷問の跡が無数に確認された。キラキラしていたルビー色の瞳は輝きを失い、言葉も発せない程に尊厳を奪われる行為をされたのは明らかだった。

「僕がお店屋さんごっこしたいって言ったから、僕が悪いんだ。お姉様を叱らないで!」
母の剣幕に怯え、泣き声を出すレナルド。彼は小さいのに本当に男の子だ。いつも歳の離れた姉の私を守ろうとしている。そんな彼を私は守れなかった。

「お母様、私がレナルドに髪を切るようにお願いしたのです」

母に伝えたら発狂されるだろうから言わないが、私はまずこの切った髪をオークションに出すつもりだ。次期国王であるオスカーが誉めた髪で作ったウィッグをまずはオークションにかける。そして、そこで得た収益を養護施設へ全額寄付する予定だ。民衆にはパフォーマンスだと冷ややかに見られるのは織り込み済み。今はただ国民に目が向いていなかった国の中枢を担う貴族が、彼らを気にし出したと気が付いてくれれば良い。


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