贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
私は目を閉じ、耳を閉じ、心を閉じた。オスカーと私は政略的婚約だったが、お互い恋をして愛し合っていた。しかし、私たちの絆は恋や愛で結ばれていた訳ではない。
鍵を閉めても外が騒がしい。オスカーが立場を忘れて癇癪を起こしているようだ。土台にあった信頼関係は薄い氷でできていたようだ。足元から崩れ落ちるような感覚と共に海で溺れるような息苦しさが襲ってくる。
ふと、窓から差し込む月明かりに照らされた花瓶に刺された二本の薔薇が目に入った。
───『この世界にはあなたと私二人だけ』
私たちは世界に二人だけが知っている葛藤と気持ちを分け合っていたと信じていた。
「馬鹿みたい。私、本当に馬鹿みたい」
賢い気でいたけれど、私は本当に愚かな女。回帰前に国の九割を占める平民から殺意を抱く程嫌われていた事にさえ気が付かなかった。
何度生まれ変わっても、思い合ってると思っていた男は他の女との間に子供を作っている。
月明かりを頼りに、鏡台の引き出しを開く。
中にはアレキサンドライトのアンクレット。
友人であるフレデリックが助けて欲しい時につけて欲しいといったものだ。
鍵を閉めても外が騒がしい。オスカーが立場を忘れて癇癪を起こしているようだ。土台にあった信頼関係は薄い氷でできていたようだ。足元から崩れ落ちるような感覚と共に海で溺れるような息苦しさが襲ってくる。
ふと、窓から差し込む月明かりに照らされた花瓶に刺された二本の薔薇が目に入った。
───『この世界にはあなたと私二人だけ』
私たちは世界に二人だけが知っている葛藤と気持ちを分け合っていたと信じていた。
「馬鹿みたい。私、本当に馬鹿みたい」
賢い気でいたけれど、私は本当に愚かな女。回帰前に国の九割を占める平民から殺意を抱く程嫌われていた事にさえ気が付かなかった。
何度生まれ変わっても、思い合ってると思っていた男は他の女との間に子供を作っている。
月明かりを頼りに、鏡台の引き出しを開く。
中にはアレキサンドライトのアンクレット。
友人であるフレデリックが助けて欲しい時につけて欲しいといったものだ。