贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
フレデリックが私に抱きつきながら、ドレスを脱がしてくる。彼の手つきがくすぐったくて私は身を捩る。

「ちょっと、何? くすぐったい」

馬鹿馬鹿しくて、自分が愚か過ぎて私は泣きたいんだか、笑いたいんだかよく分からなくなってきた。

猛スピードで走る馬車の外を見ると、既に街中を抜けて森に入っている。以前、ここで野犬に襲われてオスカーの成人の誕生日に遅れそうでハラハラしたことを思い出した。あの時だったら、今のフレデリックのおふざけを許さずに引っ叩いていただろう。私に触れて良いのはオスカーだけ。オスカーは散々他の女に触れていたのに一人だけ誓いを立ててアホらしい。

遠くで吠える獣の声に一瞬私はビクッとなった。そんな私に気がついたのか、フレデリックは私の頬を両手で包み込み目線を合わせてくる。エメラルドの瞳には弱々しい私が映っていた。

「シェリル。全部、私に任せておけば大丈夫だから」
「ありがとう。信頼してるわ、フレデリック」
フレデリックが首筋に触れる手をくすぐったいと思っていたら、ぴたりと動きが止まった。

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