幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜


 学校へ行くと、理央と田山明日香(たやまあすか)はもう登校していた。

 恋と宗介が教室へ入ると、窓際から理央が気付いて手を振りながら笑った。


「ねえ、恋と上野くんって、幼なじみなんでしょう?」


 ロッカーへ鞄をしまいに行った恋に、明日香が尋ねた。



「うん」

「いつから知り合い?。幼稚園?」

「母親同士が仲良くて、赤ちゃんの時からなんだ。」

「ふーん、良いなあ幼なじみ。毎日一緒に登校するよね。」

「うん、毎朝迎えに行ってるよ。帰りもいつも一緒だしね。今日も誰かさんが寝坊して、こんな時間の登校。」



 宗介が恋を睨んだ。



「迷惑。ほんっと。いつになったら早起きするようになるの、お前は。」

「だって」

「そういうのも幼なじみっぽくて羨ましい。昔からそういう感じなんだね。」

「二人とも家近くなんでしょう?」

「うん、隣」

「すぐ隣だよ。くっついてる。目の前が僕の家なんだ。」




 明日香が言った。




「そういえば、今日の六時間目って係のミーティングだよね。ひと月に一回の。」

「ああ」

「係によっては放課後に仕事があるんだよね。恋なに係だっけ?」

「美化だよ」

「上野くん学級委員に推薦されてなかった?」

「されたけど断ったんだ。僕は図書係。学級委員なんて面倒で。最初からやる気なかった。」

「恋、美化係ってなにするの?」

「放課後廊下の掃除して、あと備品の管理するよ。」

「ふーん、そうなんだ。私と明日香教科係なんだ。授業の後以外やることないよ。」



 宗介と恋が椅子を引いて席につく。
  朝のホームルームの始まりを告げるチャイムが鳴ったので理央と明日香は自分の机へ戻って行った。


< 3 / 111 >

この作品をシェア

pagetop