幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
昇降口から出て恋と宗介は校門に向かう。
パラパラと歩く生徒たちに混ざって、宗介が声を潜めた。
「樋山にお前があやかし狐って事がバレてる。何でだと思う?」
ぎくっとした恋は無言で地面をつま先で蹴った。
宗介に公園での事を言うわけには行かない。
宗介はそんな恋を怪しいと思ったらしい。
「何かしたの?」
眉を顰めた宗介が聞いた。
「さ、さあ」
目を逸らした恋の声は上ずった。
宗介は、ぴんときて、疑いの眼差しで恋を見た。
数分後。
宗介は恋の頬を嫌と言うほど抓っていた。
「それであいつは写真が趣味で、あやかしの映りの良さを知ってるんだ。なるほどね。」
やっと手を離してから、宗介が言った。
「知ってる人たまに居るよ」
「まあね。一応あやかしに理解はありそうな奴だけど。今後どう出るか分からないし。ああ、不安。恋は平気なの?」
「多分何も、されないよ」
恋は宗介の心配を分からない。
宗介は恋があやかし狐だとみんなに触れ回られる、と危惧していたが、美風には、特にその気はなさそうに見えた。
「何かしてくるって思うの、暗い」
「お前はノーテンキなの。どんなやつか分からないだろ。秘密を言いたがるタイプだったらどうするんだよ。そういう奴は平気な顔でバラして回るんだから。ちゃんと警戒しないと。」
宗介は恋を心配である。
宗介は、時々、恋があやかしだとばれて、住んでいるこの土地から追い出されて自分のそばから居なくなるという夢を見た。
そういう時は、必ず胸の痛みで起きた。
「……とにかく、恋は知らん顔してろよ。聞かれても答えない事。ばれてるにしても。そのうち僕から言ってやるから。分かった?」
宗介が言った。
「返事は。」
恋は、「はい」と小声で気乗りしない返事をした。