幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜



 間もなく宗介が急ぎ足でこちらにやって来て、開口一番こう言った。


「恋、手。」


 宗介は恋の手首を掴むと歩き出した。

 美風は黙って恋の左に回ると、恋の左の手を掴んだ。


「樋山は余計。邪魔。辞めろよ。」


 宗介は毒づいて、恋を引っ張った。


「嫌だ。僕の新田さんだ。上野が放せよ。僕はお前たちが付き合ってるなんて絶対認めない。」


 美風はそう言うと、逆の方に恋をぐいと引っ張った。

 恋は2人に引っ張られながら、これは幸せなのかどうかを考えていた。



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