幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
クリスマスの夜、恋は美風の事を駅前で待っていた。
宗介はあれから機嫌を悪くして、
「お前とは行かない」
と言い張って、結局イルミネーションを見に行くのはお流れになった。
恋は今日美風と一緒に買い物に行くことについて、あまり罪悪感を感じていなかった。
誘われたからついていく、という事もあったし、恋はまだお付き合いのルールをちゃんと分かっていなかったのだ。
駅前のイルミネーションは華やかにライトアップされ、人々は賑わって、楽しげに通りを歩いていく。
「新田さん、待った?」
マフラーを巻いた美風が歩いてきて、恋に声を掛けた。
美風は紺の短いコートを着ていて、品が良く、お洒落なお坊ちゃまの典型の様な格好をしていた。
「買い物したいって言ってたけど、お小遣い持ってきた?」
「持ってきた。普段何にも買わないで、貯金してるんだ」
「そう。何か飲み物買ってあげようか。見て、あっちに暖かそうなカフェがある。イルミネーション綺麗だね。」
「寒いけどね。早く駅の中に入ろう。」
駅から入ってすぐの構内のカフェで、美風は恋にココアを奢ってくれた。
「寒くない?。」
レジで精算を待っていると、美風はふいにマフラーを取って、恋の首に巻いて前で結んだ。
形を整える時美風はにこっと笑って、恋に
「かわいい」
と囁いた。
両手で持つとココアは温かく、恋と美風はココアを飲みながら歩いた。