幼なじみは狐の子。3〜その後の逆ハーレム〜
学校帰り恋が宗介の家に行くと、宗介はソファに座って雑誌を読んでいる所だった。
「いらっしゃい。恋、飲み物は?」
宗介がソファから立ち上がって聞いた。
「何でも良い。飲まなくても良い。」
「ふーん、そう。」
宗介はキッチンへ行ってガラスのコップにお茶を2人分入れると、テーブルに置いて、またソファに座り直した。
「将来について考えると、気が急くよな。」
「将来って?」
「結婚。同じ高校に入学して大学までこのまま付き合って、一緒に暮らす。2人暮らし。まあお前はまだ考えてないだろうけど。」
宗介は首を傾げて読んでいた雑誌のページをぱらりと捲った。
「僕がちゃんと考えてるから、安心して。将来の家はこのすぐ近く。おじさんが土地を持ってるんだ。そこに家を建てさせて貰う。もちろん注文住宅で。家は全部恋がデザインして良いよ。お前は家に居るもんね。問題は高校とか大学の時お前に新しく好きなやつが出来ないかって事だけど、そんなの許さない。僕の目の黒いうちは。高校でも大学でもお前は僕に一途を貫けよ。約束だからね。」
「……迂遠。」
「迂遠じゃない。あと6年したら成人。自覚しなよ。ったく分かってんのかな。」
宗介はブツブツ言っていたが、ふと顔を上げた。
「そういや駒井に言われた。プール、樋山がチケット持ってたんだって?」
「そう。沢山あるから行こうだって。宗介も一緒に来てくれるよね?」
「お前が行くならね。あーあ、樋山が恋を誘わなきゃ良いのに。今回は僕も行くから別に良いけど。お前は樋山とあんまり仲良くするなよ。どう見ても控えの彼に見えて僕は納得してないんだから。僕の気持ちを考えるように。」
お茶のコップを取った恋の前で、宗介はふう、とため息をついた。