幼なじみは狐の子。4〜狐の子の思い〜




 「!」

 
 宗介はいきなり現れた恋に驚いた様だった。
 

「上野くん」

 ハアハアと息を切らした伊鞠と桂香は、図書室で狐と宗介を見ると息を整え胸から提げたカメラを取り出した。


 
「先輩達、大丈夫ですか?。あと、撮らないでください。」

「……その狐、学校まで連れてきてるの?」

「それは……」


 宗介は怒り笑いの笑顔を作ると言った。


「あんまり懐いてるんで、時々僕についてきちゃうんですよ。僕は学校に狐が出るのどうかと思ってるんですけどね。」


 学校に狐が出るの、という響きに思い切り圧があったので、恋は宗介の腕の中でギクッとして身を竦めた。


「可愛い狐よね。オレンジ色でふわふわで。顔整っててちっちゃくて。上野くんだけに懐いてるのかしらね。私達にはなついてくれないみたいだったけど。人懐っこいって本当なの?」

「割と懐く方ですね。」

「その狐、名前は……」

「キュンですよ。」


 宗介は淀みなく言った。

 
「キュンちゃんね。どうして私達から逃げたのかしら。」

「先輩達の事本能的に新聞部だと分かったんでしょうね。報道されるのこいつも困るんで。迷惑なんですよ。」

「それは上野くんがでしょう。」


 伊鞠は笑いながら宗介の腕の中の小狐の頭を撫でた。

 

「黒王子のペットは、新聞で有名になる。今に学校のスターになるわよ。上野くんの狐の事、新田さんは知ってるのよね?」


 質問を変えた伊鞠に、宗介は。


「ああ、あいつも知ってますよ。僕たちの秘密だったんです。絶対バレちゃいけない秘密だったんですけど。こいつ、どうして学校なんかに居るんだろうな。」

 どうして学校なんかに、にまた恋にわざと聞かせる様に宗介が思い切り圧をかけた。

 狐の恋はこの後を思って頭を抱えた。




 








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