幼なじみは狐の子。4〜狐の子の思い〜
学校から帰って、恋は宗介の家に寄った。
恋が中に入っていくと宗介はダイニングのテーブルで学習計画表の見直しをしているところだった。
「あ、恋」
宗介が恋に気づいて片手を上げた。
「今日は一緒に帰らなかったけど、どこに行ってたの?。先生の用事が済んでから、一応もう1回教室に行ってみたけど、先に帰ったみたいだったから。」
「東中から律が来てたんだ。」
恋が言った。
「会うの久しぶりで、懐かしかった。律とは中々会えないから。」
「当然。」
宗介はが含蓄のある声音で言った。
「向井はお前狙いのあやかし狐だ。年下だけど、1個しか違わない。僕にとっては、樋山と同じライバルだ。そんなにそうそう会われちゃ困る。」
「弟狐だよ。」
「最初っから向井は生意気で態度が悪かった。第一印象最悪。喋るようになっても、いちいち含みのある言い方をするし。腹黒ってああいう奴の事を言うんだ。恋、あんまりあいつと関わりを持つなら、僕には考えがある。」
そして、
「第一、向井に入れ上げるのは浮気だろ。僕に対してどう?。年下だからって、邪魔者には変わりない。浮気したら僕に顔向けできないとかそれ位に思いなよね。」
「もし年下を好きになったらあんな感じなのかな?」
恋が首を傾げて言うと宗介は顔をしかめた。
「僕たちは幼なじみカップルで同じ年だけど、普通は男が下なんだって教えたろ。普通はそれが丁度良いんだ。恋に、向井の事考えて欲しくない。年下ぶって敬語使って甘えて、それがあいつの作戦なんだから。狙ってやってんだよ、全部。嫌だ嫌だ。」
「宗介が敬語でも良いよ。」
恋が言うと宗介は首を傾げて笑顔を作った。
「僕がお前に敬語?。なんで?。調子に乗るなよ?。」
恋はキッチンの冷蔵庫からお茶を出してコップに入れて飲んだ。