幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜

 






 一方、舞台袖居た恋は、テーブルについた宗介と美風の様子を見ていた。

 2人は呆れ笑いや怒り笑いをしながら、ちょっと疲れた顔でファンの子達と何か短い話をしている様だった。

 恋が舞台袖の壁に寄りかかっていると、ふいに舞台横の戸が開いて、先生が入って来た。


「……」
 
「新田さん、写真部の樋山くんそっちに居る?」

「ええ」

「新聞部のイベントいいわねえ。黒白王子かあ。本当は講堂をこういう風に使っちゃいけないんですけどね。ちょっと用事があるから、樋山くん職員室に呼んでもらえる?」

 先生はそれだけ言うと袖から出ていった。

 恋は、ちょっと躊躇した後、舞台袖から出て、舞台のテーブルに向かって歩き出した。


 

 
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