幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
「あ」
黒白王子の親衛隊達は、舞台に歩いてきた恋にすぐに気が付いた。
「嫌だなあ、姫は。出てこなくて良いよ。」
「ここはファンの縄張りでーすって言っちゃ駄目かな。つまんない。」
「新田先輩自体は嫌いじゃないけど、上野先輩の彼女なんだよね。あーあ。」
「一途を貫いてないところが嫌い。黒王子と白王子にどっちつかずだもん。」
「何しに来たんだろうね。」
恋が美風の肩叩くと、美風は振り向いた。
「新田さん」
「恋、考えなし。どうして今お前が出てくるんだよ。考えたら分かりそうなものなのに。」
「樋山くんに、先生が職員室に来てだって。」
「分かった。すぐ行くよ。」
並んでいた子と握手をしてから、美風は言った。
「先生に呼ばれてるんで、僕ちょっと抜けます。来てくれてありがとう。ごめんね。」
「樋山先輩ちゃんと講堂に戻ってきてくださいね。」
勘のいいファンの子にダメ押しされて、美風はうっと唸った。
「分かった分かった。じゃあ新田さん、一緒に行こう。」
「え?。私も?」
「新田さんはここに居てもしょうがないでしょ。ここで一体何するつもりなの?。こんな所に居ても危ないだけ。ちゃんと気をつけなよ。キミがとっても心配。分かってるのかな、まったく。」
美風が恋にそう囁いた時だった。
壇上に居たうららが、恋にペットボトルの水を掛けたのは。