幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜






「ちらし寿司を作る黒白王子のショット、拝見拝見。」

「良いねえ、腕まくりしてる黒白王子。そこばっか見ちゃう私ってヤバいのかな。」

「この写真余計。ちらし寿司の写真なんかより、もっと黒白王子を供給して欲しいよね。」

「今回の写真も素敵。調理実習をする美風様のエプロン姿、この写真予約しようっと。」

 
 校門を抜け恋が昇降口へ入って行くと、昇降口では黒白王子の親衛隊が壁新聞をチェックしているところだった。

 白王子親衛隊の黃崎うららが壁新聞の写真の種類をメモ帳にメモしながら、恋に気づいた。

 恋が廊下を通ろうとすると、うららが出てきて、恋の行く手を防いだ。


「新田恋。どうだった?この間の体育館倉庫は。もう懲りたでしょ?」

「……」

「1人きりで、暗くて、行きたくてもトイレにも行けない。ざまあみなさいよ。もう二度とそういう思いなんてしたくないでしょ?」

「……そういう事するの、変だよ」

「変なんかじゃない。全ては美風様のため。二股の最低女から美風様を守ってあげるの。そのために私の一生をかけるよ。新田恋、出張るのはいい加減にしなよね。」

「私達黒白王子親衛隊は、あなたの事を認めていませんからね。」

 横から出てきた黒王子親衛隊のリーダー格の女の子が、両腰に手を添えて言った。

「姫って言われて調子に乗らないで頂きたい。黒白王子には、私達親衛隊が付いてるんですから。」

 うららが言った。


「味方居ないよ。学年じゅうの女子が新田恋の事羨ましがってる。邪魔なんだよ。黒王子親衛隊も、白王子親衛隊も、あんたなんか大っ嫌いなんだからね。」


 恋は、辟易した顔で俯いて教室へ向かった。




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