幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
最初にい舞台に上がったのはうららのペアを含む20名ほどだった。
うららのペアはナチュラルメイクで、ステージのバックに顔が映されると完璧な癒し系のメイクが完了していた。
どうやらうららが化粧が得意というのは本当らしい。
パシャパシャと呼ばれていたカメラマンが写真を撮る。
先生達は黃崎さんのメイクを褒めちぎった。
3番目の組に伊鞠が居て、その次が恋の番だった。
順番が来ると、恋は並んだ舞台の椅子に座って、メイクアップした顔がバックに映されるのを待った。
恋がステージにあがったとたん、会場のあちこちからため息が漏れた。
お人形のような恋はメイクアップでさらに磨きがかかり、まるで作り物の様に精巧に美しかった。
バックに恋の顔が映されると、会場がしんとした。
美しすぎるのだ。
中でも絶句しているのはうららだった。
────か、可愛い!
うららは可愛いものが大好きだった。
あの憎き新田恋が、こんなに可愛くなるなんて。
天地がひっくり返るほどショックを受けたうららは目眩を覚えて、フラフラと青ざめた顔でその場に倒れ込んだ。
「あら」
グロテスクな化粧をした伊鞠がそのうららをすかさずと
1枚パシャリと撮った。
隣では、桂香がいつもの様に恋の写真を撮り始めている。