幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
「……」
うららはいきなり声を張り上げた。
「お願い!メイクアップさせて!」
「……」
「……」
「……」
「……」
数秒間恋とうららは黙っていた。
混乱する頭の中で、恋はクエスチョンマークが乱立するのを禁じ得なかった。
「メイクアップ?」
「そう、メイクアップ。」
うららは怒り笑いしながら言った。
「超超超悔しいけどあんた可愛いよ。メイクすると本物のお姫様みたい。メイクフェスティバルで分かったの。あんたはこの地球の可愛い物の部類。虐めちゃいけないんだって。」
「……」
「私メイクアップアーティストになるのが夢なの。」
うららが言った。
「人や物をどんどん改造して、可愛いものをどんどん増やすの。それが夢なんだ。」
それから、
「気分超複雑!」
と毒づいた。
「あんたが可愛くなきゃ良かったのにと思ってるのと、メイク後のあんたに見惚れてるのと半々。美風様の事はまだ許せない。これは美風様には関係ないよ。」
「……」
「だから、新田恋。お願い。私にもあんたのメイクさせてよ。」
そこへ新聞部から事情を聞いた宗介と美風が走ってきた。
「恋!」
「新田さん!」
宗介と美風は息を切らしてうらら睨んだ。
「何にもされてないよ」
恋が慌てて言った。
「何を話してたんだよ?」
「メイクさせてって……」
「は?」
「メイク?」
宗介と美風はぽかんとした顔をした。