幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
恋が説明すると、美風は吹き出した。
「そっか、黃崎はメイクアップアーティストになりたいんだ。」
美風はうららに言った。
「なれば良いよ。新田さんを可愛いって認めれるなら、大賛成。キミはセンスあるよ。応援する。」
「美風様……」
うららが言った。
「可愛いのは認めるけど、私、美風様の事を諦めたわけじゃないんです。これはライバル宣言です、美風様。メイクはさせて貰うけど、新田恋、あんたはライバルで友達じゃないから!」
「そんな事言わずに。黃崎も新田さんの友達になれば良いよ。そしたら、遊ぶ時も一緒にどう?って誘えるから。やっぱりね、黃崎は悪い人じゃないって思ってたんだ。」
美風が笑った。
「キミの事も好きになるよ。友達としてだけど。新田さんと仲良くしてね。そうそう。」
美風は手を伸ばして黃崎さんの前髪をふわりと横に避けた。
「ファンサービス位だったら、いくらでもしてあげるよ。キミ自身も、メイクなんてしなくてもとっても可愛い女の子だと思う。」
「み、美風様!」
言いながらうららの鼻からもう鼻血がダラダラと流れている。
宗介はそれを引いた表情で見ながら、恋に言った。
「恋、あいつにあんま近付かない方が良いぞ。馬鹿が移る。」
「新田恋!。ライバルだから。美風様は渡さない!」
鼻血を吹きながら言ううららに、体育館の裏で、美風はクスクス笑い、宗介は恋を睨み、恋はほっとため息を付いたのだった。