幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜


 


 料理教室に行く事になった恋と理央は、恋の家で待ち合わせをしていた。


「お皿もまな板も包丁も全部質よく貸し出しだって。なんにも持って行かなくて良いなんて良いよね。」


 理央がリビングテーブルの上の煎餅をつまみながら言った。


「理央、料理興味あるの?」

「あるよ。私なんでも興味ある。料理は一人暮らしする時自分で作りたいし。家で普段家事手伝わないから、ちゃんと習わないとなんにもできないんだ。」

「私は食べるだけなら良いけど……」

「もう、恋、それじゃ駄目だよ。上野くんも樋山くんも恋の手料理食べたがってウズウズしてるんだから。恋人達にはちゃんと食べさせなきゃ。それが良い彼女ってものだよ。」


 理央は言いながらまた恋の家の煎餅の袋を開ける。


「こういう機会がなきゃ恋料理なんてしないでしょう。そう、私が探して拾ってくるから、二人で色んな教室行こうよ。平凡な日常つまんない。私暇で仕方ないんだ。教室行き倒そうよ。」


 また煎餅を齧っている理央に、恋は支度をしながらそうする、と呟いた。

 



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