幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
生クリームと苺で飾りつけをしたケーキを箱に入れ、恋と理央と伊鞠と桂香は宗介の家へ向かった。
宗介の家の玄関口では、手持ち無沙汰そうにした美風が先に着いて塀に寄りかかって待っていた。
「あ、新田さん」
美風は自転車を降りて歩いて来た恋達を見つけると顔を上げた。
「樋山くん」
「樋山くん、上野くんちチャイム押さなかったの?」
美風は首を傾げた。
「上野と二人になりたくなくて。新田さん達を待ってたんだ。外にいたからちょっと怪しかったかも。ケータイ見てたんだ。」
美風はそれまで見ていた狐の生態のサイトをほら、と恋達に見せた。
「恋!」
恋の声を聞きつけて、まだチャイム鳴らさないのに宗介が玄関から出てきた。
「今日はケーキでパーティーするって言うから待ってたんだ。先言ってくれて良かったよ。部屋片付くからさ。加納先輩石巻先輩、料理教室まで恋について行ったんですか。」
「当然よ。私達は西中新聞部のホープですからね。」
宗介はドアを開けてみんなを家の中に招き入れた。