幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
デコレーションケーキは手先の器用な理央お陰でケーキショップさながらの出来だった。
テーブルに人数分お皿とフォークを出しながら、宗介がケーキを箱から出して確認した。
「へえ、うまいじゃん」
宗介が言った。
「理央がこういうの得意なんだ」
「私、手芸部でしょう。色々飾り付け慣れてるからさ。ケーキは生クリームの絞りが最初ちょっと難しいけど、コツを掴めば簡単。」
「私達も協力したのよ。サンドの桃を切ったのが私達よ。」
「へえ、新田さん、上手じゃない。」
「実は、生地をちょっと焼きすぎちゃったんだけど……」
「全然良いよ。僕生クリーム好きなんだ。今回は恋も駒井も先輩達もお疲れさま。」
宗介が皿の苺をフォークで食べながら言った。
「確かにちょっと焼きすぎてる。」
料理の得意な美風がケーキを口に運びながら考える顔をした。
「確かにそうね。焦がした時の味がするわ。」
伊鞠が言った。
「ごめん」
「謝ることないよ。これはこれでおいしい。初めてにしては上出来じゃない。」
「失敗は成功の元。次気をつければ問題ないよ。うん、おいしい。今日は幸せ。恋ありがとな。」
「美味しいでしょう。焦げは私の飾り付けがカモフラージュなんだ。」
「おいしい。これからも、僕にショートケーキを作るように。」
恋達は話しながらジュースを飲んでケーキを食べた。