幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
宗介の家に集まったのは、宗介と美風と律と理央と、多紀と明日香と、新聞部の連絡でやって来た黒白王子の親衛隊と新聞部の先輩達だった。
「新田恋、そんな事で家出するなんて、なってない。白王子親衛隊隊長のこの黃崎うららにまた迷惑かけるなんて。」
自転車を停めた横で、うららが腰に手を添えて言った。
「スクープ!」
宗介の家の広い庭を眺めながら、伊鞠が言った。
「これは本当のスクープね。新田さんが家出するなんて。大変。」
「呑気な事言ってないでください、先輩」
宗介が忌々しげに言った。
「これから恋を探さなきゃならない。人手は確かにあった方が良いけど、どうして親衛隊が来るんだ。」
親衛隊は、庭とはいえ黒王子の自宅訪問というの興奮して、きゃあきゃあ言いなが嬉しそうにしていた。
「あら、当然よう。新田さんを見つけるまで、全員フル稼働するんだから。」
「今日は黒王子の自宅にお呼ばれ出来て光栄です」
黒王子親衛隊隊長が言った。
「あ、黒王子親衛隊隊長って、確か2年生なんだよね」
理央が明るい声で言うと、
「はい、2年の篠田雅です。好きなものは黒王子で趣味は黒王子の考察、好きなものは黒王子と同じショートケーキです。以後よろしくお願いします。」
と黒髪ショートの黒王子親衛隊隊長は笑顔で挨拶した。
「どうでもいい。そんな事言ってる場合じゃないんだ。恋に何かあったらって思うと。恋が心配。」
宗介が言った。
「新田さんの行きそうな所知ってる人居ない?。新田さんは、普段はこういう場合はどこに行くものだろう?」
美風が深刻そうな顔で言った。
「私本屋とか雑貨屋とか商店街探すよ。」
「僕も。恋どこへ行ったんでしょうね。」
「僕は家の近くを探す。固まって動かない方が良いよ。人数多いし。分かった。駒井と向井は商店街の店に恋が居ないか見て。親衛隊も商店街を探して。」
「はい、黒王子!。仰せの通りに。」
「黒王子は姫のことばっかり。良いなあ、姫は。」
「はあ……私姫を探さなきゃいけないの負けな気がする。」
「いいっこなしよ。困ってる時は。」
ぼやく親衛隊を伊鞠が励まして、宗介達はばらばらに別れて恋を探し始めた。