幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜



 


 恋がゴミ捨て場のソファに蹲っていると、暗い道を向こうからトーチが照らし始めた。

 トーチを持っていたのは美風だった。

 美風は恋の気弱な性格から、そう遠くまでは行っていないだろうと見当を付け、近所を探していたのである。

 美風はソファ上の恋を見つけると走り寄った。


「新田さん!」


 途端に恋はドロン!と音を立てて狐から人の姿へ変身した。


 美風の後ろには新聞部も居た。

 恋は一瞬ひやりとしたが、新聞部はトーチを持っていなかったので、恋の事はよく見えなかった様だった。


「新田さん、何のつもり?。こんな時間に独り歩き。置き手紙まで残して。」


 美風しかめっ面で言った。


「加納先輩、打つんで撮ってください。どうせ記事にされるんだし、怒られたって載せられて反省するんだね。」

「新田さん、どこに居たの?。みんなであなたを探してたのよ。商店街組に連絡しなきゃ。あっちで見つかるものだとばっかり思ってたわ。」

「……」


 恋は腕組みをしている美風を見上げ、しどろもどろにごめんなさいを言った。





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