完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法
「はぁ、仕方ないな。凛音には話しておこう。私は清十郎と七海さんを別れさせるつもりだ。元々、清十郎にはちゃんとした婚約者がいたんだ。それを、妊娠を武器にあの下品な嫁は結婚を迫ってきた」
 私には祖父の話は初耳だった。

 私は母から大好きな父の希望で短大卒業と同時に結婚したと聞いていた。対外的にも母はそう話している。
(デキ婚だったって事?)

「下品な嫁って、私のお母様の事だよね⋯⋯私もお爺ちゃまにとって下品な存在?」
 絶対的な味方だと思っていた祖父の攻撃的な発言に私は不安になってきた。

 その不安を察するように祖父は私の隣に座り直し、まるで幼い子を宥めるように髪の毛を撫でてくる。

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