ツンデレイケメン海賊剣士と甘くて危険な大航海〜A sweet and dangerous voyage〜
「ご、ごめんなさい⋯っ。ボーッとしちゃってて⋯」
「いや、いいんだよ。
こちらこそ、ぶつかっちゃってごめんね」
慌てて顔を上げると、
眼鏡をかけている黒髪ヘアーの男性が心配そうにリオナを見つめていた。
「⋯っ⋯」
パッと見た感じ、
身長177cmぐらいある眼鏡男性を直視したリオナは言葉を詰まらせる。
なぜなら、
その眼鏡男性が余りにも容姿端麗だったからだ。
この眼鏡男性も実はリコル海賊団の一員であり、
名前はセンリだ。
ドクターの資格を持ち、
船医としてリコル海賊団で働いている。
(この男の人、めちゃくちゃかっこいい⋯ん⋯ですけど⋯?
もしかして今日は、イケメンさんに遭遇する日⋯とか⋯?)
「ん?どうしたの?」
余りにもセンリに釘付けになってしまったせいか、
キョトンと小首を傾げたセンリの声でリオナはハッと我に返った。
「い、いえ⋯っ!
な、何でもないんです⋯っ!
ぶつかっちゃって、ごめんなさい⋯っ!」
ガバッと頭を深く下げたリオナに対して、
センリがクスリと笑い、呟く。
「ふふ、大丈夫だよ。気をつけてね」
「は、はい⋯」
頭を軽くポンッと撫でられたリオナは、
反対方向に向かって行ったセンリの背中が見えなくなるまで、
しばらくその場でボーッと立ち尽くしていた。
そして、
リオナは全くもって知る由もなかった。
路地裏に身を隠した柄の悪そうな男達数名がリオナの様子を窺いながら、
こんな物騒な会話をしていたことに。
「おい、お頭が言ってた例の美女の歌姫って奴は、あの女か?」
「ああ、間違いねぇ」
「攫って売り飛ばせば、
結構いい金になりそうだぜ?
中々美人な姉ちゃんだしな」
そう、言わずとも分かるだろう。
美しい容姿と美声を持つことで美女の歌姫と呼ばれているリオナは、
運悪くも人身売買目的で誘拐強盗を生業としている金銭目的の悪党達に目をつけられてしまったのだ。
ここから、
リオナの運命の歯車がゆっくりと動き出していくこととなる。
その夜、
宿屋でザ・フランセスの座員達と食事を終えたリオナは新しい歌作りの為、
ハープを持ち一人で近くの海岸に出ていた。
一人でハープを奏でていると、
自然とリオナの中で次々に歌詞が浮かび上がって来るのである。
時間帯も時間帯だからか、
海岸には誰一人いなかった。
「ラララ〜、明日のラララ〜」
人が座れるような岩場に腰かけ、
ハープを奏でる。
落ち着いたハープの音色とリオナの歌声にうっとりとしているのか、
波の音は穏やかだ。
また、惹かれてやって来たのだろうか。
海の底に潜らないと見ることが出来ないような複数の魚達が、
水上に集まってきていた。
そして、
例の悪党達も物陰からリオナの様子を窺っているようである。
「へへへ、あの女。
呑気に一人で歌なんか歌いやがってよ」
「ああ、全くだ。
これから俺達に攫われるとは知らずにな」
「こんな夜に女一人で外に出るなんて、
襲ってくれとでも言ってるもんだからだな」
リオナを拘束するための縄と猿轡を噛ませるための布を握っている彼らの様子からして、
リオナを拉致しようとする気満々であることが、
どう見ても明らかである。
「明日の希望〜、ララララ〜。
ふう、今日はこんな感じかな?またいい歌が出来そう。
とりあえずそろそろ、宿屋に戻らなきゃ」
悪党達が動きを起こしたのは、
リオナが海岸を出ようとしたその矢先であった。
「おら、大人しくしな!」
「んん⋯っ!」
背後からゴツゴツとした大きな手に、
勢いよく口を塞がれたのだ。
(な、何⋯っ!?)
突然の出来事にリオナの頭の中は真っ白となる。
また、悪党達の方が圧倒的に動きが早く、
リオナには抵抗する間が一切なかった。
「いや、いいんだよ。
こちらこそ、ぶつかっちゃってごめんね」
慌てて顔を上げると、
眼鏡をかけている黒髪ヘアーの男性が心配そうにリオナを見つめていた。
「⋯っ⋯」
パッと見た感じ、
身長177cmぐらいある眼鏡男性を直視したリオナは言葉を詰まらせる。
なぜなら、
その眼鏡男性が余りにも容姿端麗だったからだ。
この眼鏡男性も実はリコル海賊団の一員であり、
名前はセンリだ。
ドクターの資格を持ち、
船医としてリコル海賊団で働いている。
(この男の人、めちゃくちゃかっこいい⋯ん⋯ですけど⋯?
もしかして今日は、イケメンさんに遭遇する日⋯とか⋯?)
「ん?どうしたの?」
余りにもセンリに釘付けになってしまったせいか、
キョトンと小首を傾げたセンリの声でリオナはハッと我に返った。
「い、いえ⋯っ!
な、何でもないんです⋯っ!
ぶつかっちゃって、ごめんなさい⋯っ!」
ガバッと頭を深く下げたリオナに対して、
センリがクスリと笑い、呟く。
「ふふ、大丈夫だよ。気をつけてね」
「は、はい⋯」
頭を軽くポンッと撫でられたリオナは、
反対方向に向かって行ったセンリの背中が見えなくなるまで、
しばらくその場でボーッと立ち尽くしていた。
そして、
リオナは全くもって知る由もなかった。
路地裏に身を隠した柄の悪そうな男達数名がリオナの様子を窺いながら、
こんな物騒な会話をしていたことに。
「おい、お頭が言ってた例の美女の歌姫って奴は、あの女か?」
「ああ、間違いねぇ」
「攫って売り飛ばせば、
結構いい金になりそうだぜ?
中々美人な姉ちゃんだしな」
そう、言わずとも分かるだろう。
美しい容姿と美声を持つことで美女の歌姫と呼ばれているリオナは、
運悪くも人身売買目的で誘拐強盗を生業としている金銭目的の悪党達に目をつけられてしまったのだ。
ここから、
リオナの運命の歯車がゆっくりと動き出していくこととなる。
その夜、
宿屋でザ・フランセスの座員達と食事を終えたリオナは新しい歌作りの為、
ハープを持ち一人で近くの海岸に出ていた。
一人でハープを奏でていると、
自然とリオナの中で次々に歌詞が浮かび上がって来るのである。
時間帯も時間帯だからか、
海岸には誰一人いなかった。
「ラララ〜、明日のラララ〜」
人が座れるような岩場に腰かけ、
ハープを奏でる。
落ち着いたハープの音色とリオナの歌声にうっとりとしているのか、
波の音は穏やかだ。
また、惹かれてやって来たのだろうか。
海の底に潜らないと見ることが出来ないような複数の魚達が、
水上に集まってきていた。
そして、
例の悪党達も物陰からリオナの様子を窺っているようである。
「へへへ、あの女。
呑気に一人で歌なんか歌いやがってよ」
「ああ、全くだ。
これから俺達に攫われるとは知らずにな」
「こんな夜に女一人で外に出るなんて、
襲ってくれとでも言ってるもんだからだな」
リオナを拘束するための縄と猿轡を噛ませるための布を握っている彼らの様子からして、
リオナを拉致しようとする気満々であることが、
どう見ても明らかである。
「明日の希望〜、ララララ〜。
ふう、今日はこんな感じかな?またいい歌が出来そう。
とりあえずそろそろ、宿屋に戻らなきゃ」
悪党達が動きを起こしたのは、
リオナが海岸を出ようとしたその矢先であった。
「おら、大人しくしな!」
「んん⋯っ!」
背後からゴツゴツとした大きな手に、
勢いよく口を塞がれたのだ。
(な、何⋯っ!?)
突然の出来事にリオナの頭の中は真っ白となる。
また、悪党達の方が圧倒的に動きが早く、
リオナには抵抗する間が一切なかった。