不良少年と徘徊少女

夜明け前

あークソ眠ぃ

今は朝の4時。
朝と言っても陽はまだ沈んでて、外はまだ真っ暗だ。

家までの帰り道ぼやける頭で今日来てくれた女の子達にメールを送る。

〇〇ちゃん今日はありがとう
次も楽しみにしてるね

今日も心にもないことをペラペラ綴る。
あー疲れた。

コンビニに寄って朝飯を買う。
牛丼と缶のコーラを持ってレジに行く。

「62番ふたつ」

牛丼とコーラと煙草を2箱。

これが俺のいつものメニュー。

代わり映えのない日常。
昨日も今日もきっと明日も続いてく日常。


コンビニから出る時人とすれ違った。

この時間帯に来る客は、大抵スーツのおっさんか、若いチャラチャラした男や女の子だった。
が、今すれ違った子はそのどれでもない。

初めて見かける女の子だった。

こんな時間に何してんだ。と思ったがすぐに自分には関係のないことだと歩き出す。

歩きながら家まで我慢出来ずに煙草を吸い始めた。
最近、路上で歩き煙草は規制されたとかどっかで聞いた気もするがどうでもいい。
もう全部どうでもよかった。

後ろで何やら騒がしい声が聞こえる。

「ねぇ一緒に遊ぼうよ。絶対楽しいから。」
「結構です。」
「いやいやちょっとだけだって。」
「失礼します。」
「ねえ。」
「やめて!離してください!」

「嫌がってるじゃないっすか。」

つい間に入ってしまった。

俺には関係ないことだってスルーしようとしたが、気づいたら体が動いてた。

「あ?てめぇ誰だよ。」
「手、離してください。」

そう言って男を見下ろす。
自分から面倒臭いことに踏み込んでしまった自分にいらいらしてたのを、男は自分に対して怒っているのだと勘違いしたのか、そこまで面倒な事にならず、舌打ちだけ残して去って行った。

「ありがとうございます。」

声がしてその子の方を向く。
女の子を見てようやく気づく。絡まれてた女の子はさっきすれ違った子だった。擦れ違った時はよく分からなかったが近くで見ると綺麗な顔立ちの子だった。髪の毛も瞳の色も真っ黒で、このまま闇に溶け込んでしまうのでは無いかと錯覚させる。その子の印象は一言で表すと"危うい"だった。が、どうでもいい。1秒でも早く帰って寝たかった。

「まぁこの時間に女の子一人は危ないすよ。」




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