ほっとけないよ
ゆるキャラと放課後遊ぶ。
「マゼンタ、
いっしょにかえろー」

授業が終わったあと、
俺がマゼンタにそう声をかけたら、
彼は返事の代わりに1冊の本を見せてくれた。

「あ、図書館寄ってくの?
俺も行く」
コクッ。
マゼンタは小さくうなずく。今日もいっしょに帰っても良いらしい。
彼と俺は、学校の最寄り駅からJRの快速電車に乗って、巨大なダンジョンみたいな駅で別れる。
彼はそのまま電車に乗り、俺は別の電車に乗り換える。

「そう言えば、
今日、ちょっと本屋行きたいんだけど、
マゼンタも行く?」

コクッ。
俺の誘いにマゼンタは小さくうなずく。きみ、けっこう付き合い良いよね。
俺がどっか行こうって言うと基本的に断らないし。

「図書館で何借りたの?」
俺がそう聞くと、マゼンタはしばらくぼうっと宙を見たあと、
(何か、
俺に見えないもの見えてないよね?)
スクールバッグを探って本を出し、俺に渡す。
1冊、
2冊、
3冊、
「えっ!?」

軽そうに見えたスクールバッグには、なんと5冊もの本が入っていた。
俺は、
マゼンタが常に眠い理由が、ちょっとわかったような気がするし、

図書室までその本を持たされた。
< 21 / 25 >

この作品をシェア

pagetop