双子センサー 〜告白したら人違いでした。〜
「君はさぁ、千載一遇のチャンスを逃したのよ。そこんとこ分かってる??連絡先聞かないって何事?!」

「話せたんだけど、ちょっと情報量やばくてさ……」

 昨日一日の情報量を報告する暇もなく、愛衣ちゃんのお説教が始まる。そして極めつけは……

「あんずならもっと上手くやってたよ」

「悪かったねぇ!不出来な妹で!!悪ぅございました!!」

これである。


 気のせいかもしれないけれど、愛衣ちゃんの綺麗にまとめられたお団子ヘアが今日はウニみたいにトゲトゲして見える。怒った声もいつもの三割増で、もうどっちが恋愛しているのか分からなくなってくる。

 私たちが話していると、廊下の方が騒がしくなってくる。

「まーた始まったよ……先輩達が通りそうなタイミングで廊下に集まって、よく飽きなよね〜」

 愛衣ちゃんは半分呆れたように言って、スマホをいじっている。あのイケメン兄弟……琥珀先輩と翡翠先輩には、ファンクラブが存在する。今集まっているのも多分ファンクラブの人達だと思う。

「まぁ授業サボったりする人いないし、いいんじゃない??」

 私はファンクラブの人達のことよりも、堂々とスマホをいじる愛衣ちゃんの方が気になって仕方がない。そんなに堂々と持ってて、よく生徒指導行きにならないな……と感心する。

「せっかくなんだから参加してきなよ」

「無理無理、ファンクラブの人達に押し返されてそれで終わっちゃうよ……」

 私はそう言ったのに、愛衣ちゃんは私の背中を強めに押した。バランスを崩して転びそうになりながら、廊下に進んだ。あまりに人が多くて、前が見えない。

「あ、兄貴の彼女候補ちゃん」

 廊下を歩いていた琥珀先輩に、見つかった。しかも、結構やばい覚え方までされてる。琥珀先輩の言葉に近くにいたファンクラブの人達が一斉にどよめく。教室の扉も少し空いていて、愛衣ちゃんを含め教室にいた数人が目を丸くしていた。

――終わった。完全にファンクラブの人達を敵に回してしまった。


「私、振られたんですけど……??」

 蚊の鳴くような、弱々しい声しか出なかった。

 本当はそうじゃない。けれど、ここで説明するとさらにややこしいことになる。それに今の私には、そこまで考えられる余裕なんてなくて。


「普通に具合悪くなってきた……すいません、ちょっと酸欠気味なんで、休んできます……」

「送ろうか? 保健室」

 いくらなんでもスマート過ぎないか? さっと片手まで差し出して、心配してくれる琥珀先輩の姿が本気で王子様に見えてくる。断るまもなく支えられて、散り散りになった人だかりの中を進んでいく。ファンクラブの人達の視線がものすごく痛かった。


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