双子センサー 〜告白したら人違いでした。〜
あの後体調が戻った私は、昼休み明けの授業から教室に戻った。
「花!! 大丈夫だった??」
「おかげさまで。ただの人酔いだったよ」
「ほんとよかったよ〜! まだ春なのに夏みたいに暑いから、溶けてたらどうしようかと思った」
そう言って愛衣ちゃんは大きく息を吐いた。朝はウニみたいに見えたのに、今はメンダコみたいにふにゃふにゃしている。
「ほんっとにびっくりしたんだから! まさか少女漫画のシチュをリアルタイムで見るとは思わなかった……あれはすごかったよ」
「そんな大袈裟な……」
愛衣ちゃんは、自分のことでもないのに毎回楽しそうだ。そんなに楽しいなら、自分も探してみればいいのにと思った。
「愛衣ちゃんは、そういうの興味ないの?」
「私は漫画で足りてるから〜。現実にまで侵食してきたら失神しちゃうよ」
「ふーん……」
そういう考えの人もいるのか。私は、年齢が上がっていけば自然とそちらに興味がいくと思っていた。ふと前の席の愛衣ちゃんを見ると、単行本の上に大きな教科書を被せてこっそり漫画を読んでいる。
「そのうち本当に指導くらいそうで心配だよ……」
私の声はきっと届いていない。チャイムが鳴って、ノートや教科書をめくる音や黒板に板書する音が聞こえる。
――このまま、ゆったりとした毎日が続きますようにと願わずにはいられない。
時々、意味の分からないことも含めて、今の私は姉の影に縛られずに楽しめている。姉が嫌いなわけではないけれど、それが少し新鮮でまだ慣れない。
窓の外では先輩達が体操服姿で汗を流している。運動して汗を流す姿を見ていると、姉をふと思い出す。
姉は昔から運動が得意だった。高校入試も、陸上競技の成績と少しの学力でこの町の外の強い陸上部のある高校に進学した。そんな姉は時々私に連絡をくれる。あそこは部活だけじゃなくて、勉強も大変だと聞いたことがある。そんな中で私のことを気にかけてくれる姉は、有名人を通り越して超人だと思う。
「あっつ……」
姉は姉として、ちゃんと見られている。なら、私もそうありたい。いつか、私をわたしとして見てもらえる日が来るだろうか。
もし叶うなら、その相手が琥珀先輩であってほしい。
「花!! 大丈夫だった??」
「おかげさまで。ただの人酔いだったよ」
「ほんとよかったよ〜! まだ春なのに夏みたいに暑いから、溶けてたらどうしようかと思った」
そう言って愛衣ちゃんは大きく息を吐いた。朝はウニみたいに見えたのに、今はメンダコみたいにふにゃふにゃしている。
「ほんっとにびっくりしたんだから! まさか少女漫画のシチュをリアルタイムで見るとは思わなかった……あれはすごかったよ」
「そんな大袈裟な……」
愛衣ちゃんは、自分のことでもないのに毎回楽しそうだ。そんなに楽しいなら、自分も探してみればいいのにと思った。
「愛衣ちゃんは、そういうの興味ないの?」
「私は漫画で足りてるから〜。現実にまで侵食してきたら失神しちゃうよ」
「ふーん……」
そういう考えの人もいるのか。私は、年齢が上がっていけば自然とそちらに興味がいくと思っていた。ふと前の席の愛衣ちゃんを見ると、単行本の上に大きな教科書を被せてこっそり漫画を読んでいる。
「そのうち本当に指導くらいそうで心配だよ……」
私の声はきっと届いていない。チャイムが鳴って、ノートや教科書をめくる音や黒板に板書する音が聞こえる。
――このまま、ゆったりとした毎日が続きますようにと願わずにはいられない。
時々、意味の分からないことも含めて、今の私は姉の影に縛られずに楽しめている。姉が嫌いなわけではないけれど、それが少し新鮮でまだ慣れない。
窓の外では先輩達が体操服姿で汗を流している。運動して汗を流す姿を見ていると、姉をふと思い出す。
姉は昔から運動が得意だった。高校入試も、陸上競技の成績と少しの学力でこの町の外の強い陸上部のある高校に進学した。そんな姉は時々私に連絡をくれる。あそこは部活だけじゃなくて、勉強も大変だと聞いたことがある。そんな中で私のことを気にかけてくれる姉は、有名人を通り越して超人だと思う。
「あっつ……」
姉は姉として、ちゃんと見られている。なら、私もそうありたい。いつか、私をわたしとして見てもらえる日が来るだろうか。
もし叶うなら、その相手が琥珀先輩であってほしい。
