学校 裏サイト
第四章 冷たい気配






児童養護施設、若松園の朝は早い。

午前5時半、男子棟の部屋の一室で、目覚まし時計の音が鳴り響いた。

拓也の部屋だ。

その音に刺激されて、彼は目覚める。

ぼんやりと体を起こし、ベルを止めた。


「あと五分……」などと呟いて、二度寝をするのは嫌いだ。

それに、そんなことをしている暇は、無い。

立ち上がり、カーテンと窓を開けると、初夏の気配を感じさせる朝日が降り注いだ。

風はないが、充分に心地よい気候だった。

パジャマを脱ぎ、制服に着替えると、拓也はそっと部屋を出た。

まだ寝ている他の中学生達を起こさないように、そっと廊下を歩く。

慎重な足取りで拓也が向かっているのは、食堂だ。

< 113 / 393 >

この作品をシェア

pagetop