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第七章 ターニングポイント






歩く度に、生傷が痛む。

それでも、いつまでもここにいるわけにはいかない。

若松園へと、帰らねばならないのだ。

「痛……」

頬を触ると、皮が剥けていた。

風が吹くと、傷口にそれが当たって、チクリと痛む。

きっと今の拓也は、無様な姿だろう。

服が汚れ、あちこちに傷があるせいで、すれ違う人々の視線が痛い。

普段なら気にしないはずなのに、今は透明になりたいとさえ思う。

自然と足取りは小走りになっていた。

若松園のみんなには、ふざけていて転んだと言おう。

すぐに見抜かれるかもしれないけど、そう言うしか術はない。



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