こころ、ふわり
札幌駅に到着した私たちは、そこから順次クラスごとに移動しながら観光地を回った。
どれもパンフレットに載っているような有名な場所で、みんなで写真を撮ったり、美味しいご当地スイーツなどを堪能する。
隣のクラスを引率している高野先生が誰よりもはしゃいでいる姿を一瞬見てしまい、密かに笑ってしまった。
お母さんが言っていた通り3月の北海道は外に出ると本当に寒くて、持たせてもらったホッカイロが早速役に立った。
私があげたホッカイロを手で包みながら菊ちゃんが暖を取る。
「楽しいけど、とにかく寒い!」
「タイツ履いてても寒いね」
寒いだろうと予想して、今回の修学旅行だけ特別に許可された黒いタイツの着用。
私や菊ちゃんは迷わずタイツを履いたけれど、意地でも黒い指定の靴下で通す女子生徒もいて、見ているだけで寒かった。
何ヶ所か札幌市内の有名どころを見て回ったあとは、小樽へ移動するために大型観光バスへ乗り込む。
バスではクラスのムードメーカーがカラオケをして盛り上がる中、徳山先生は冷静に私たちの様子を眺めていた。
やはり徳山先生の隣はいつでも星先生がキープしている。
なにやら積極的に話しかける星先生とそれを受け流す徳山先生は、見ているだけで面白かった。