強迫性狂愛
第12章

絡んだ糸

迅の手を握り締めたまま、迅の足の長さに合わせて小走りに手をひかれて校舎を出る。


何も言葉を言えなかった。


…嬉しかった。


ただ、ただ―…嬉しくて、胸が震えた。


もっと素直に言葉を紡いでいたのなら、失わずに済んだ?


もっと、心穏やかに迅といれたの?



「百花」


「………」


「なぜ、泣く」


「……わか、な…」



わからない。


嬉しくて


悲しくて


もどかしくて


もう、わかんないよ。


自分の心さえ、どこにあるのか…


わからないよ、迅……
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