* another sky *

◇ TASUKU


電話を一本かけ、トイレに寄ってから玲の元へ戻る。


あ、――。


ちょうど、玲があいつに連れ出されているところを、遠目で確認。


どうしようか。

行くべきか。

うーん、さっきからの玲を見てると、もう心配することもなさそうだし…

確かに、不安がないわけじゃ、ないけど…ね。

玲を信頼している気持ちの方が、今は大きいんだよね。

今さら、何だよ?って、話。

気にするな、俺。


……気になるけど。


今は、行くべきじゃ、ないよな。


壁になってここからは見えないけれど、玲は今、あいつといる。

梨花さんの所へ戻ると、一瞬、困ったような表情をして、俺を見上げた。


「あ、玲は…―――。」


「大丈夫ですよ、玲は。」


俺が気付いていることがわかると、梨花さんは口角だけを上げて、頷く。


「上原さんは、玲のこと、信じてるんですね。」


「信じてるも何も…。」


俺は苦笑する。


「何があっても、僕は玲のことが好きなんですよね…。

そこは、変わらないから。

惚れたもん、負けですよ。」


「上原さん…。」


―――――。


梨花さんは俺を真っ直ぐに見据え、真面目な顔をして尋ねた。


「さっき玲とも話してたんですけど…。

玲の、どこが良かったんですか?」


え、―――??
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