* another sky *
◇◇ another sky 神戸Xmas特別篇 ◇◇


 * 翼のワスレモノ *



それは12月も半ばを過ぎた頃。



「えっ、忘れもの??」



そろそろ家を出ようかと思っていた時にかかってきた1本の電話。



「ちょっと待ってて。見に行くから」



携帯を耳にしたまま、私は翼の部屋を開ける。



「ああ、あるある。これでしょ、ブルーのパソコンケース」


「あった?? 何だ、家に置いてきたのか」



通話口の向こう、―――。


翼のホッとしたような声が耳に届く。



「ねぇ、いるんじゃないの、これ。
最近ずっとこれにかかりっきりだったでしょ?」



私はずっしりと重たいパソコンケースを持ち上げた。



「送った方がいいならそうしよっか??」


「悪い、頼める?? それないと厳しいんだ。
ホテルまで送ってもらえると助かるんだけど」

< 725 / 769 >

この作品をシェア

pagetop