エリート救命医と身代わり花嫁の再会愛。
第15話 決着
その日の朝は、いつもより早く目が覚めた。
カーテンの隙間から差し込む光が、まだ薄くて白かった。夜明け前の、どこか息を潜めたような静けさが部屋に満ちている。時計を見ると、五時を少し過ぎたところだった。
航大くんの腕の中で目を開けると、彼はすでに起きていた。天井を見上げたまま、静かに考え事をしているような顔だった。規則正しい呼吸をしているのに、目だけが覚めていた。まつ毛が、薄明かりの中でかすかに影を作っている。
その横顔を、しばらく黙って見ていた。
「……起きてたの?」
「あぁ、少し前から」
声をかけると、彼は視線を私に移した。それだけで、難しかった表情がすっとほどけて頬が緩む。いつも私を見るたびにそんな表情になっていてそれがいつも、不思議で、嬉しく思える。
「いよいよ、今日だね」
「うん。やっと、今日だ」
今日は動く日だ。先日協力してくれるという弁護士がここに挨拶にいらっしゃった。弁護士は宮西さんという普段は国際弁護士として活躍している結構有名な先生らしい。だが、航大くんの知り合いらしくて快く引き受けてくださったと航大くんから聞いた。
『初めまして、私は宮西と申します。国際弁護士をしています。日本の弁護士資格はもちろんアメリカとイギリスの弁護士資格を持っています』
『そうなんですね。そんなすごい方が……』
『私はすごいと自分では思ってませんよ。相談されたら、応えます。まぁ、少しだけ時間を確保しただけです。榛名さんは大学が姉妹大学でね、同じサークルに入ってたんだよ。それから腐れ縁で。それに今回は、全く頼ってくれない榛名さんが頼ってくれたから嬉しかったんだ。だから、そんなふうに畏まらないでいいからね』
弁護士ってお堅いイメージだったけど、とても物腰が柔らかくてとても優しかった。それに凛くんや航大くんが得た情報を合わせた告発状を作成した彼は航大くんと当日の打ち合わせをして帰っていった。
今日はその告発状を提出する日だ。