苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

SCENE3 課長の素顔


 一週間が過ぎ、ここ数日、仕事のスケジュールは幾分ゆったりペースだ。

 来週は新作の試作品がいくつか開発部門から戻ってくる。そのため、ミーティングや会議も増えて忙しくなりそうだった。その上、初めて参加する社内コンペも近い。今日のような時間が取れる時には、なるべく準備を進めるようにしている。

 今週は残業も少なくて早く帰宅できるから、調査と趣味を兼ねてデパ地下のお菓子巡りでもしようかな。そう考えながら、コーヒーを淹れに給湯室の前へ立つ。すると、噂好き女子たちの会話が耳に届いた。

「へぇぇ~。初スクープじゃない!? あの人、モテるの?」
「知らないの? 結構裏では人気なんだよ。あぁ見えて、体つきもいいし、メガネ外すとイケメンだし。冷たい上司は、その反動で夜になると別の顔になるって、隠れファンがいるらしいよ」

「そっか。藤生課長のお相手は、年上のロングヘアーかぁ。育ちのいいお嬢様とかが好みかと思った。本当に本人なの?」
「人事の子が確かに見たとかで、二人で親しそうに歩いてたって」

 強烈なキーワードに思わず身動きが取れなくなる。会話の続きが気になって、その場から離れられない。いくつもの気になる言葉に、感情がフリーズしてしまう。

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