苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~

SCENE5 ご褒美


 週明けの月曜日、出社して企画開発本部のドアを開ける。
 部屋を歩き回り、それとなく課長の席へ視線を向けた。けれども、そこに彼の姿は見当たらない。手に持った紙袋には非常用ライトと、モバイルバッテリーが入っている。別にやましいことはないけれど、さすがに目立った所で渡すわけにもいかない。

 袋を手に姿を追いかけ、さりげなく廊下へ出る。給湯室の方へと向かうと、コーヒー片手にこちらへ歩いてくる課長と目が合う。一瞬、親し気に声をかけてしまいそうになり、慌てて自分を抑えた。

「おはようございます。あの、これ……助かりました」
「おはよう。あぁ……」

 課長は普段と変わらずに落ち着いた様子で答え、紙袋を受け取る。そして、何もなかったかのように、そのまま自分の席がある部屋へ直行した。

 素っ気ない対応くらい百も承知なのに、どこか親し気な合図の一つでもしてくれると、期待していたのも事実だ。その期待を胸の奥へググっと押し込む。
 こちらも急いで自分の席へ戻った。

 今日も忙しくなるだろうな。頭を切り替えようと軽く息を吸い込み、パソコンを立ち上げる。



     *      *       * 



 それから数週間後、緊張しながら少しずつ準備を進め、ついに社内コンペのプレゼン当日を迎える。会議室には社長や幹部クラスの他、販売事業本部や、食品事業本部などの役職のある者が集まっていた。

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