春斗が私のそばからいなくなって、数週間が経っていた。

自分の気持ちに嘘はつけないけれど、あんな風に告白され、事実を知ったからといって、はい。そうですか。と秋斗のところへなんかいけるはずもない。
何も知らなかったのだから、では済ませられないし。
秋斗の事だって、傷つけてしまっている。

けれど、これはつまらないプライドというものだろうか。
もっと素直に、自分の気持ちに正直になるべき?

「で? 結局私に会いに来るしかなかったと?」
「うん」

あえて満面の笑みで頷くと、コツンと拳骨で頭を叩かれた。

「痛いよ、塔子~」

本当は少しも痛いわけじゃなかったけれど、わざとらしく頭に手をやりしかめっ面をしていると、呆れた溜息を吐かれた。

「私は香夏子にかなり愛されていると、前々から思っていたけれど。ここまでか?」

冗談交じりに言って、ビールを煽る。

「だってー。塔子なら無条件で私だけを見てくれるから」
「甘えすぎ」

ビシッと叱られて、肩をすくめる。

「まぁ、そんな冗談はさておき。香夏子に呼び出される前にね、実は春斗君から大方の話は聞いてるんだよね」
「え?!」
「驚いたでしょ?」

塔子様を舐めなさるなよ。と悪い顔でニタニタとしている。