春に想われ 秋を愛した夏


ランチタイムになり、ミサと社食へ向かった。
AランチやBランチの豪華さには目もくれず、あったかいうどんを選択する。

「この暑いのに、うどん?」
「これなら食べられると思うから」

熱々のうどんを頼む私を不思議そうに見るミサへ言うと、食べられるならその方がいいか。と納得している。

「いただきまーす」

テーブルにつき、湯気の上がるうどんを一口すすり、良く噛んで飲み込んでから思う。

春斗の作ってくれたうどんの方がずっと美味しい。なんて、社食を作ってくれているおばちゃんたちにはとてもいえない感想を抱いた。

「うどん。美味しい?」

今日もボリューム満点のAランチミックスフライセットを食べているミサが、私のうどんをしげしげと眺めながら訊ねる。

「まぁ、普通に」
「私のフライ、一つ食べる?」

気を遣ってか、そんなことをいうミサに遠慮をする。
まだ揚げ物を食べられるほど回復してはいない。


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