春に想われ 秋を愛した夏


「それよりさ。同棲はどんな感じなの? うまくいってる?」

最近始めた同棲がどんなものなのか訊ねると、途端にミサの目じりがたれてくる。

だらしのない顔になったミサの話では、もうラブラブでイチャイチャのデレデレらしい。
擬音だけで説明されてもわからず、思わず笑ってしまった。

「とにかくー。もう一緒に居られる幸せに浸っているわけなのよ」

むふふ。という笑いをスルーしていると、幸せな感想を次々と聞かせられた。

「彼と一緒にスーパーへいって、一緒にキッチンで料理をしたりぃー。二人がけのソファに座って、恋愛映画観てキスしたりー。休日には、いつまでもお布団の中で一緒にラブラブしたりー」

きりのないいちゃつきぶりを聞かされて、うどんも食べ終わらないうちに満腹感が押し寄せる。

「はいはい。もういいです。お腹いっぱい」

ミサのお惚気が白熱していきそうでストップをかけると、もっと聞いて欲しそうでとても残念そうに唇を尖らせた。

とにかくもう、幸せいっぱい、というわけだ。

「同棲して正解だったってことね」
「うん。もう、大正解! 香夏子もしたら、同棲」

ニコニコと、未だ目じりのたれたしまりのない顔で勧められた。

けど、したら。と簡単に言われても。

「私の場合、その前に相手がね」

肩を竦めると、香夏子もてるのに、と嬉しいことを言ってくれる。


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