「昔と変わらず、よく飲むな」

満足してお店を出ると、そのことが嬉しいというように秋斗が私を見て笑う。

「出された物は、きっちり頂きますよ」

アルコールに浸った脳が思考を若干緩めてしまい、気づけば昔と変わらずに接していた。
さっきまで黙秘を決め込んでいたことさえ、遥か彼方の出来事だ。

「だいたい。あんな食事で大丈夫なの? 秋斗こそちゃんと食べなさいよね」

ミサのように、母親口調で小言を言う私を苦笑いして見ている。

「香夏子に心配されるなんて、なんだか変な感じだな」

秋斗は、俺が心配で連れてきたのに、と付け加えた。

「昔、香夏子が大学で倒れた時」
「ああ、うん」

私は、あの時の暑さを思い出す。
あの夏は、かなりの猛暑だった。
どんなに元気な人だって、体調を崩してもおかしくないくらいだった。
そんな暑さにやられて、気がつけば保健室のベッドに寝ていた私のそばには、秋斗がいた。

「普段元気で、倒れるなんて言うイメージがいっこもなかった香夏子が目の前で倒れて、俺結構焦ったんだ」
「え? 目の前?」
「香夏子が昼飯食べるために歩いてたのが見えて、駆け寄ったんだよ。その瞬間、バタンッ」

そうだったんだ。
だから、秋斗が保健室にいたんだね。