中学校

小学校6年生の頃、私は目立つ図体のせいなのか
よく中学生の見知らぬ先輩から呼び出しを受けた。

今考えると、非常に理不尽な話だけれども
この頃は、自分の後輩なるものが出来ると、妙に粋がりたくなるものだ。
その呼び出しは、まるで中学に上がる前から、年功序列の縦社会を
叩き込むかのようなもの。

でも、当時は、そんな冷静さはない。

呼び出しは、あくまでも「忠告」程度のものだったが
私は、まだ子供だったから、正直、怖くてたまらなかった。
このまま地元の公立中学に進学したら、いきなりリンチを
受けるんじゃないかとすら思った。

そんな相談を、誰にする訳でもなく、私は1人で思い悩む。

そんな時、母親から私立の中学を受験しないかと提案されたのだ。

母親は、世間体や人目を非常に気にする人なので
1人娘が公立ではなく中学から私立に行くと言うのは
ハタから見たら、立派なお嬢さんに見られるだろう。

少なくても、私の通っていた公立の小学校から、わざわざ高い学費を払って
私立に行った子供なんて、同じ学年で、200人くらいの生徒の中、
ほんの4~5人くらいしか居なかったのだから。

私は、母親の勧めを、快く受け入れた。

公立の中学に進学して、先輩のリンチをくらうのも嫌だったし
何より、周囲の子供よりも、何か別格な一面を持てるのだから
私にしてみれば、こんな一石二鳥のような話はない。

私は、母親が勧めた私立の学校を受験し、合格。

地元から電車通学で通う、学校へ進学した。


卒業式、皆が同じ公立の中学の制服を着用して出席する中で
私が通う私立の学校は制服がなかったから
とびきりお洒落なスーツを母親に買ってもらい
それを着て卒業式に出席した。

皆が紺色の制服の中で私だけグレーのスーツ。

なんだか自分が、格好良く思えた卒業式だった。
< 4 / 63 >

この作品をシェア

pagetop