「なに?」

「どうせ自分じゃ誰にしようか決めかねてるんでしょ?」

「それはまあ……」


というより、決めようという気があまり起こらない、と言った方がより正確なのだが。


「写真はどこ? ここかな?」


慶次は俺の机の引き出しを指差し、その通りなので、俺は「ああ。好きにしてくれ」と、半ば投げやりに返事をした。


慶次は引き出しから写真と書類の束を取り出すと、それを抱えて俺の机にヒョイと腰掛けた。


「うーん、結構美人揃いだなあ」

「そうか?」

「うん、割とレベル高いんじゃない? 確かに迷うね?」


別に迷ってるわけじゃないのだが……


「信之さんの好きそうなタイプはどの人かなあ……」


慶次は、令嬢達の略歴などが記載された書類は脇に追いやり、ひたすら写真と睨めっこを始めた。


「おい、書類の方は見なくていいのか?」

「最初にチラッと見たからもういい。どうせどの令嬢も落ち目の旧家の娘で、真田家の財産目当てでしょ? 見ても意味ないよ」

「おまえは口が悪いなあ」


と言ったものの、確かにその通りだと俺も内心では思っている。つまり俺と、と言うよりも、この家と結婚したい女性ばかりと言っても過言ではなく、そう思ってしまうからますます写真の令嬢達に興味が湧かないのだ。


「やっぱりこの人だな。うん、決めた」


慶次はしばらくのあいだ写真を見比べていたが、やがて一枚の写真を両手で持ち、それに向かってしっかりと頷いた。

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