爺やの案内で応接間へ行くと、当然だが服を着た浅井菊子さんが両親と思われる二人と共にそこに居た。

こちらは叔父、叔母夫婦と俺の母親。挨拶もそこそこに向かい合わせに座った。菊子さんは俺の正面に座ったが、服装はやや清楚な感じで、俺と目を合わそうとせず、頬の辺りがほんのり赤らんでいて、恥ずかしがっているように見える。とても夜中に全裸で現れた女性と同一人物とは思えない。

そう言えば、今の菊子さんはいくぶん若く見える。夜中に現れた彼女は10年後ぐらいの未来から来たのだろうか……


メイドがお茶を配りだしたが、それは小松だった。小松は俺の前にお茶を置く時、“この人です”という目で俺を見、俺は小さく頷いた。やはり小松は目撃したのだ。菊子さんが未来へ戻る瞬間を……


「本日はお招きいただきましてありがとうございます。娘の菊子にはあらゆる教育を施しておりますので、こちらへ嫁ぎましても何ら問題ないと思っております。ただ、少し内気なところがありまして、それだけが心配ではありますが……」


などと父親が言うと、菊子さんはやや俯き、更に顔を赤くしていた。こんなしおらしい菊子さんは、夜中に現れた彼女からは想像も出来ず、今は猫を被っているのか、それともこの頃は本当にそうだったのか……

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