未来から来た花嫁 ~迷走する御曹司~
「報告書は後で読んでもらうとして、先ず見てもらいたいのはこの写真だ」
兼続はそう言いながら、1枚の写真を俺に差し出した。
「あ、ああ」
それを手に取り見てみたら、サングラスを掛けた男と女が、揃って何かのビルに入る瞬間を、やや遠巻きに撮ったものだった。
菊子さんに関する写真だから当然なのだが、女は菊子さんで間違いないと思う。男はと言うと……
「慶次か?」
「ああ。従兄弟の慶次君だ」
「何だって慶次が……」
「報告書によると、その建物は都内のある高級ホテルで、二人はしばらくバーで飲んだ後、エレベーターで上に上がって行ったらしい」
「…………」
驚いて声も出なかった。正直、特にショックという程ではないが、全く思いもしなかった事だからだ。なぜ慶次が……
「おそらく、慶次君は浅井菊子さんと取引をしたんだろうと思う。報告書によれば、過去に二人の繋がりはなかったらしいから、浅井菊子さんの方から慶次君に接近し、おまえと結婚出来るように裏工作をさせたんだろうと思う」
「なるほど。しかしそんな事して、慶次に何の徳があるんだろうか」
「そりゃあ、金と……アレだろうよ」
「アレって?」
「そんな事、言わなくても分かるだろ?」
「あ、ああ……そうだな」
兼続の言う意味が分かった。現にこの写真が示す通り、二人は既にそういう関係なのだし。他人の嫁さんとそういう事をするという、慶次の気持ちが俺には全く理解出来ないのだが。
兼続はそう言いながら、1枚の写真を俺に差し出した。
「あ、ああ」
それを手に取り見てみたら、サングラスを掛けた男と女が、揃って何かのビルに入る瞬間を、やや遠巻きに撮ったものだった。
菊子さんに関する写真だから当然なのだが、女は菊子さんで間違いないと思う。男はと言うと……
「慶次か?」
「ああ。従兄弟の慶次君だ」
「何だって慶次が……」
「報告書によると、その建物は都内のある高級ホテルで、二人はしばらくバーで飲んだ後、エレベーターで上に上がって行ったらしい」
「…………」
驚いて声も出なかった。正直、特にショックという程ではないが、全く思いもしなかった事だからだ。なぜ慶次が……
「おそらく、慶次君は浅井菊子さんと取引をしたんだろうと思う。報告書によれば、過去に二人の繋がりはなかったらしいから、浅井菊子さんの方から慶次君に接近し、おまえと結婚出来るように裏工作をさせたんだろうと思う」
「なるほど。しかしそんな事して、慶次に何の徳があるんだろうか」
「そりゃあ、金と……アレだろうよ」
「アレって?」
「そんな事、言わなくても分かるだろ?」
「あ、ああ……そうだな」
兼続の言う意味が分かった。現にこの写真が示す通り、二人は既にそういう関係なのだし。他人の嫁さんとそういう事をするという、慶次の気持ちが俺には全く理解出来ないのだが。