しっとりと   愛されて
逆に、彼には気づかれてしまった。

私がアルコールに強いことを。

デザートをオーダーしてから、私は化粧室へ席を立った。

「ちょっと飲み過ぎたかしら、覚えてないけど。」少しふらついた。

久しぶりに飲んだからだ。

気持ちが不安だから、余計酔いが回ってきそうだった。

席に戻った。

「デザートも美味しかった?」

「はい、とっても美味しかったです。」

堺さんはじっと私を見つめていた。

私が酔ったことに気が付いていないようだった。

「君って、意外に飲むんだな?」

私はハッとしてしまった。

彼の言うように、飲んだ量の割りには、顔が赤くもなく、平静でいる私を観察してそう言ったのだ。

「すみません、私、気づかなくて、私ばかり頂いてしまって。」

「いや、いいんだ。大丈夫?顔には全然出ていないようだが。」

「はい、大丈夫です。久しぶりに飲んだので火照ってます。」

「ふ~ん、可愛いな。」彼の切れ長の目が光ったように見えた。

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