呪いのブレスレット
ひかりの死
翌日の朝のホームルーム。

担任のかっちゃんが時間ピッタリに入ってくる。

物理の教師で、まだ30才前で若く、生徒たちから「かっちゃん」と呼ばれている。

ちょっと頼りない風貌で、クラスのみんなはかっちゃんを近所のお兄さんくらいに位置づけている。

白衣を着ているのがトレードマークなのだけれど、教室に入ってきた今日のかっちゃんは、黒っぽいスーツを着ていた。

その姿を見て、ざわついていたクラス内が一瞬でシーンと静まり返った。

日課の起立、礼の間中、かっちゃんは浮かない顔をしている。

生徒の着席でガタガタっと音がたつ。

かっちゃん、どうしたんだろう……?

あたしはいつものみんなを見守るような笑顔がない先生をじっと見つめた。

嫌な予感もあった。

スーツを着てお見合い……それならスーツを着ているのも納得するけれど、いつもと様子が違う気がする。

かっちゃんは出席を元気なくとり始めた。


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